オールスパイス

●英名:Allspice
●和漢名:百味こしょう、三香子
●学名:Pimenta officinalis Lindley
●科名:フトモモ科の常緑樹
●原産地:中南米
●主産地:ジャマイカ、メキシコ、ホンジュラス、キューバ、ハイチ、グアテマラなど

 産地は中南米および西インド諸島に限られている。フトモモ科の常緑樹の実を乾燥させたスパイスで、コロンブスの新大陸発見後、別の探検家によって発見され、ヨーロッパにもたらされた。

 当時ヨーロッパでは非常に高価だったため「オールスパイス」と名づけられ、珍重された。シナモン、クローブ、ナツメグの3つのスパイスをミックスしたような香味をもっている。中国名の「三香子(サンシャンズ)」、和名の「百味こしょう」も、同様にオールスパイスの香味の特徴からつけられた。また、実の形がペパーに似ていることから、発見当時のスペインではペパーの一種と考えてピメンタと呼んだり、俗名でジャマイカペパーとも呼んでいたらしい。

オールスパイスの香味

 オールスパイスの香味が、シナモン、クローブ、ナツメグと香りが似ているのは、いずれもオイゲノールという主成分が共通しているからである。そのため、利用法も基本的には同様であり、様々な料理に使われている。

 オールスパイスに辛みはなく、独特な清涼感と甘み、そしてほろ苦さを兼ね備えており、若干の刺激感がある。香味の特徴から、甘い料理、辛い料理どちらの料理にも合う。オールスパイスの香味は、果実が完熟する前に収穫したものが最も強い。

オールスパイスの利用法

 オールスパイスは様々な料理に使われているが、特にアメリカ人好みのスパイスとして知られている。単独で使うよりも、香味が似ているシナモン、クローブ、ナツメグと併用すると、それぞれの角がとれ効果的な使い方ができる。
■ホウル(原形)を使用…シチュー、スープ、ソース、マリネなど
■粉末使用…トマトジュース、トマトサラダなど
■肉料理、貝スープ、トマト料理などには、粉末でもホウルでもよいが、いずれも調理中に加えるのがポイント。
■ドーナツ、クッキー、フルーツパイやフルーツケーキなどの焼き菓子類にもよく合う。特にバニラエッセンスと相性がよい。生地にオールスパイスの粉末を練り込み、焼き上げることで、加熱によって弱まるバニラエッセンスの香りが増強される。同時に、オールスパイスの刺激臭も弱まる。バニラエッセンスとの併用により、相乗効果を発揮するのである。

オールスパイスの薬効

■オールスパイスはオイゲノールを多く含んでいるため、和漢薬の丁字(クローブ)と同じような特性をもっている。オイゲノールには強い抗菌性があり、ある研究ではブルセラ菌に対して1万6000分の1、マイコバクテリウム菌(結核菌・鳥型)には8000分の1の濃度で完全に発育を阻止したという。
■オールスパイスから抽出した精油を、現地では食欲増進剤や神経痛、リューマチの治療に用いている。

オールスパイスの栽培

 オールスパイスの栽培は、中南米・西インド諸島に限られている。東南アジアなどでもたびたび栽培を試みるが、いまだ成功はしていないようである。
 オールスパイスは通常、種子から生育させる。7〜8年で結実し始め、15年ほどで最大の収量となるが、なかには100年以上実をつけ続けるものもある。収穫した実は6〜10日間天日乾燥する。天日乾燥することにより、青みが残っていた実は赤みを帯びた暗褐色に変化し、強い香気を発するようになる。

オールスパイスのエピソード

 コロンブスがアメリカ大陸を発見する、はるか昔の紀元2世紀頃から、マヤ・インディオは数世紀もの間、彼らの偉大なる王の死体をオールスパイスの実で香りづけ、保存していた。